懐かしく思い出すウィーンのチャイニーズ・レストラン

何とか無理をして10日ほど休暇をとり、ハンガリーを旅行した時のことです。出発前からどうも体調が思わしくなく、旅行中も微熱があるかな~と思うことが何度かありました。予定通りのルートを回ったものの、ハンガリー最後の日になって、微熱ではすまないほど熱が上がってきたのです。

帰りの飛行機はウィーンから乗ることになっていたので、翌日フラフラしながらウィーン行の国際バスに乗りました。車窓の風景もロクに目に入らずバスの中でウトウトしているうちに、お昼過ぎにウィーンに到着。オペラ座の裏手にあるツーリスト・インフォメーションに直行して近くのホテルをとり、部屋に着くなりベッドに横になりました。少しでも休んで熱を下げなければ! 気持ちが焦るせいか、バスの中でウトウトしたせいか、一向に眠れない中、私は昨日の夜からほとんど何も食べていないことに気が付きました。

水やジュースばかり飲んでいたのです。眠れないなら、いっそ外に出て何か食べた方がいいのかも。着替えて外に出てはみたものの、ランチタイムはとっくに終わっていて、レストランはどこも休憩時間です。カフェで軽食という方法もありますが、熱がある今、私はスープが飲みたいと切実に考えていました。

レストランが開く5時まで待って出直そうか街中をウロウロしていた時、偶然開いているチャイニーズ・レストランを見つけました。目立たないお店で、値段も高くはなさそう。ドアをあけると店内は思いのほか広く、でもお客さんは一人もいないようでした。

やっぱり休憩中なのか? 「食事はできますか?」と尋ねると、20代半ばと思われる中国人女性がにっこり頷いて席に案内してくれました。メニューからかに玉スープを選び、スープだけではまずいと思い、豆腐と野菜の炒めものを頼みました。「ライスはいいの?」と聞かれましたが、「体調があまりよくないので」と断ると、お茶を持ってきてくれました。スープが運ばれてくると、私は自分が空腹であることにようやく気が付きました。熱いスープは本当においしく、豆腐と野菜の料理も思いのほか優しい味付けで、すんなり食べることができました。

温かい中国茶が飲めるのも嬉しく、何よりも、自分と同じ東洋人の笑顔にホッとさせられました。帰国後は見よう見まねで豆腐と野菜の炒めものを作ったりもし、名前も憶えていないレストランですが、今でも時々思い出します。

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