南フランスに旅したときの話です。友人と私、女2人だけでバックパッカーのように身軽な格安旅をしていました。飛行機のチケットはとるものの現地についてから宿を探しては滞在したのですが、いつも条件は「とにかく安いこと」。ある時村で一番安いという民宿を紹介されて行ってみると、中世の農民の家のようなたたずまいでとても気に入り泊まることにしました。部屋はとてもかわいらしく快適だったのですが、お風呂が共同ということで、一人ずつ順番に入りにいくことにしました。

お風呂に行ってみると、ヨーロッパらしく部屋の中央に猫足のバスタブが斜めに鎮座していてそこにお湯を張って体を温めたり洗ったりするものでした。映画の中でみたことがあるような素敵な陶器のバスタブに感激し鼻歌交じりにバスタイムを堪能しました。それから部屋に戻ると扉があきません。中にいる友人にも声をかけるとおびえるように扉を開けて顔色が悪いのです。聞いてみると、何者かがカギをガチャガチャし開け入ろうとしてきたというのです。そんな話を聞いているうちにも、誰かが扉をガチャガチャ。

身の危険を感じ、必死の想いで部屋中の家具を扉のところに寄せて侵入を防ぎビクビクしていました。しかししばらく何もないので、家具をもとに戻して食堂に行ってみると、農協のおじさんと思われるようなほっぺ真っ赤な集団が陽気にお酒を飲んでいました。あとでわかったのですが、珍しい東洋人のお客に食事の時間を知らせに部屋に呼びに行ったとのこと。酔っぱらっていたので、ノックではなく鍵をガチャガチャしただけだったらしく、誤解だとわかりました。

ホッとして食事をとりました。恐怖から解放された安心感もあってとても美味しい食事と、おじさんたちとも楽しい時間を過ごすことができました。行き当たりばったりの旅はドキドキすることや危険も伴いますが、後で思い出せば笑ってしまうような、そして忘れられない思い出がたくさんできて楽しいです。

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